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冬の寒さを夏に使い、夏の暑さを冬に使う、風穴の仕組み!四国の風穴/絹産業を通して

志保山の風穴

風穴で保存された蚕のたまご=蚕種

次はこの風穴で保存されていた蚕のたまご=蚕種(サンシュ)についてです。養蚕という言葉を聞く機会もほとんどなくなり、絹/silkと関係のある言葉であることも知らない人も多いと思います。

なので何故?蚕種を保存する必要があったのか?というところを見ていきたいと思います。

一年に何回も繭を取って生産量を高めたい

蚕(家蚕)は絹を取るために家畜化・品種改良された虫で、人間の手がなければ生きていくことができません。

野生の蚕を野蚕と呼び、インドやアフリカなどでその繭から絹をつくっている地域があり、アニマルウェアネスの観点で注目を集めています。

日本の蚕は年に一度の世代交代が基本だった

昆虫は一年間のあいだに何度も卵を産んで世代交代のサイクルを繰り返すタイプ(家の中で何度も世代交代するチャバネゴキブリなど)と年に一度だけ孵化して成虫になり卵を産んで休眠するタイプ(こどもたちが大好きなカブトムシなど)がいます。

日本の蚕は年に一度か二度の世代交代をして、卵の状態で休眠しながら越冬して、春になって温かくなると孵化します。なので春に蚕を育てて繭を取る春蚕が一般的でした。

蚕(カイコ)・飼い蚕・家蚕(ヤサン)
蚕と桑の葉
繭玉
繭玉

1か月に4回脱皮して繭へ

春に孵化した蚕は桑の葉を食べながら成長して糸を吐き出して繭をつくるまでの1か月のあいだに、およそ4回ほど脱皮をします。

繭になった蚕は、糸を紡ぐために釜茹でされて成虫になる前にそのまま死んでしまいます。昔はこの繭のなかの蚕を昆虫食の貴重なたんぱく源として食用していた地域もあったそうです。

座繰り製糸
明治の糸繰りの様子(県立長野図書館所蔵

孵化のタイミングをコントロールする催青

熱帯などの暖かい地域では越冬の必要がないため年に何回も繭が取れる品種の蚕が使われていますが、日本の四季がこうした養蚕の仕組みを必要としました。

そのなかで年に何回も繭を取ろうとすると、越冬している卵の冬眠期間を長くして、夏前や、秋に孵化が出来れば、春に限らずに繭を取ることが可能になります。

こうして生まれたのが低温下で卵を保存する技術と好みのタイミングで孵化させる催青という技術でした。タイミング調整に重要なのは温度と光の制御でした。

孵化のタイミングがコントロールできることは出荷量のバラツキや品質管理の手間を抑える点でも有利でした。地域の蚕の卵が一斉に孵化すれば、繭になるタイミングも揃うので、生糸に製糸するタイミングも揃い、製糸工場の稼働も安定します。

志保山の風穴-正面石組み
石組みの隙間から夏に涼風をもたらし、年間を通して安定した環境を提供する

催青環境に適していた風穴

こうした卵の保存には、春の訪れを卵が感じない、低温で安定していて、湿らない(同時に乾燥しない)、光が届かない、刺激のない静かなところが良いとされ、山中にある風穴は、自然条件のなかでこれらの要素を満たすには最適な場所だったのです。

風穴の基本的な仕組み・蚕種のことを理解したところで、四国のそれぞれの風穴をみていきます。

1風穴の仕組みと成り立ち 2風穴で保存された蚕のたまご=蚕種 3愛媛県東温市上林森林公園風穴 4香川県志保山の風穴、高鉢山の風穴 5愛媛県大成の風穴群

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「冬の寒さを夏に使い、夏の暑さを冬に使う、風穴の仕組み!四国の風穴/絹産業を通して」への2件のフィードバック

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