脳から 個性 と あこがれ を見直す、自分たちに馴染む家づくりとは?
MBTI タイプと空間デザインの関係を考える
ユングの心理学やMBTIでは、
- ものごとに対する向き合い方で 外向型/内向型 (Extroversion / Introversion)
- 知覚の仕方で 感覚型/直観型 (Sense / iNtuition)
- 判断の仕方で 思考型/感情型 (Thought / Feeling)
- MBTIでは外部に対して判断と知覚のどちらが主となっているかを明記します 判断型/知覚型 (Judgment / Perception)
に分けます。MBTIのアルファベット(例:ENTJ-外向思考(判断)直観タイプ)はこのような性向の違いを表しています。

判断をするための素材を知覚が提供する、知覚の基礎的要素の一つを判断が提供する、というように、判断の二つの型と知覚の二つの型は、お互いを補い合う関係にあると考えられます。それに対して同じ判断・知覚同士の二つの型が片方が優位(よく使われる)になりやすく、もう片方が相対的に劣位(苦手)な性向となります。
こうした特性と環境条件が組み合わされることで、その状況に対して優先すべき機能が選択され、筋トレのように、使った部位や連携方法が機能強化されていき、主機能が定まっていく(個別化していく)と考えられています。
この組み合わせのパターンから似たもの同士をまとめてMBTIでは次のようなグループとして捉える方法もあります。自分がどのグループに入っているかを知ることは、同じような興味や悩みを持つ人、異なる興味や悩みを持つ人の傾向を知るのに良い方法だと思います。
周囲に与える印象:外向型/内向型 と 判断型/知覚型の組合せ
- EJ(外向 × 判断 / ENTJ, ESTJ, ENFJ, ESFJ)
外向的・組織的/明確な方向性を持ち、計画的に行動する。周囲には指導的、組織的な印象を与える。 - EP(外向 × 知覚 / ENTP, ESTP, ENFP, ESFP)
外向的・自由奔放/好奇心旺盛で即興的。周囲にはエネルギッシュで自由な印象を与える。 - IJ(内向 × 判断 / INTJ, ISTJ, INFJ, ISFJ)
内向的・計画的/深く考え、計画的に行動する。周囲には慎重で組織的な印象を与える。 - IP(内向 × 知覚 / INTP, ISTP, INFP, ISFP)
内向的・柔軟/自由に動き、マイペースに考える。周囲には柔軟で独自性のある印象を与える。
動機付けられるきかっけ:判断型と思考型/感情型、知覚型と感覚型/直観型の組合せ
- TJ(思考 × 判断 / ENTJ, ESTJ, INTJ, ISTJ)
支配者/秩序、戦略、計画、目標達成に動機づけられる。組織化・管理を重視。 - FJ(感情 × 判断 / ENFJ, ESFJ, INFJ,ISFJ)
調和者/人間関係の調和や他者への貢献に動機づけられる。共感と協力を重視。 - SP(感覚 × 知覚 / ESTP, ESFP, ISTP, ISFP)
経験主義者/新しい刺激や行動に動機づけられる。身体感覚や瞬発的な反応を重視。 - NP(直観 × 知覚 / ENTP, ENFP, INTP, INFP)
探求者/新しいアイデアの探求や創造に動機づけられる。可能性を追求する。
内的緊張(知覚と判断のあいだの葛藤):判断型と感覚型/直観型、知覚型と思考型/感情型の組合せ
- SJ(感覚 × 判断 / ESTJ, ISTJ, ESFJ, ISFJ)
安定への不安/秩序が崩れることへの強い不安を抱きやすい。責任感がストレス源になりやすい。 - NJ(直観 × 判断 / ENTJ, INTJ, ENFJ, INFJ)
アイデンティティの葛藤/自己の目標や世界観の意味を問う内的緊張が強い。自己実現の葛藤を抱えやすい。 - TP(思考 × 知覚 / ESTP, ISTP, ENTP, INTP)
矛盾へのストレス/矛盾や非合理な状況に強いストレスを感じる。論理的整合性を求めるが、現実とのギャップに悩む。 - FP(感情 × 知覚 / ESFP, ISFP, ENFP, INFP)
他者との不和への不安/他者との調和や自己表現の不一致に対して強いストレスを感じる。
基本的認知スタイル:思考型/感情型と感覚型/直観型の組合せ
- ST(感覚 × 思考 / ESTJ, ISTJ, ESTP, ISTP)
論理的・具体的な認知スタイル/データをもとに具体的・論理的に考える。実務的な思考を重視。 - NT(直観 × 思考 / ENTJ, INTJ, ENTP, INTP)
抽象的・分析的な認知スタイル/理論・システムを分析し、抽象的な推論を行う。 - SF(感覚 × 感情 / ESFJ, ISFJ, ESFP, ISFP)
経験的・感覚的な認知スタイル/具体的な感覚や経験から学ぶ。実際の人間関係や体験を重視。 - NF(直観 × 感情 / ENFJ, INFJ, ENFP, INFP)
直観的・感情的な認知スタイル/直観的に情報を統合し、意味を重視する。
この関係をまとめると下図のようになります。外向型と内向型、4つの主機能に、2つのサブ機能を組み合わせた全部で16パターンの分類が生まれます。MBTIや16personalitiesでの16パターンがこれに該当します。

いきなり主従の掛け合わせを考えると混乱してしまうので、まずは主機能で分類される4つのタイプを家づくりと関係がありそうな視点から説明していきます。
思考タイプ

思考タイプは論理的な思考でものごとを判断するのが得意なひとです。他の三タイプよりもイメージがしやすいのではないかと思います。計画を立てることや、ものごとを分類するのが得意で、机の引き出しや収納のなかはカテゴリーごとにきちんと整理整頓されている人が多いです。
スマホやパソコン、家電などの新商品・新機能が好きで、家づくりでは断熱性や耐震性などの性能や数値をしっかりと確認したい人が多いのも特徴です。
分類をきちんとする性向から、一つの場所で色んなことをするよりも、すること(寝る・食べる・作業する・くつろぐなど)に対して、それに適した場所を設定して、その行為のための能力を発揮しやすい状況をつくることを好みます。
相手の能力を推し量ることは得意ですが、相手の感情を推し量るのは下手な場合があり、公平さや論理的整合性、合理性を重視した結果、相手の感情を無視してしまい、議論が平行線になることもしばしば。
感情タイプ

自身のそして相手の幸せや喜びを大事にし、感情的な不和を嫌います。そのため相手のしぐさや表情に敏感に反応して、相手のことを気遣うのが得意です。
そのため特に外向型の感情タイプの人は一人でいるよりも、人と一緒にいることを好みます。内向型の人でも相手への気遣いは強く、気が合う仲間へのさりげないフォローをよく行います。
片付けの得意不得意は人によりますが、片付けいないことで不和が生じることは嫌いなので、片付け能力は決して低くないです。
論理的な分類に限らず、主観的な気持ちにもとづいた分類も積極的に行って、片付けをする場合が度々あります。
そのため他の人からすると、どのような理由にもとづいて片付けされているかを理解するのが難しい場合があります。
これは感情タイプの人が自身の気持ちを言語化するのが苦手で、その言語化をフォローしてくれるサポーター(あれ、これ、と言っただけで、それを類推できるような人など)がまわりにいないときに、よく起こります。
感覚タイプ

実感や事実を大切にする人が多いです。同じ知覚型の直観タイプの人と比較すると、しっかりと感覚を味わって、ものごとを感じ取ろうとする傾向が強く、そのため慎重な人に見えます。論理的飛躍や突拍子のない直観的な考えは好みません。
自分のペースで着実に地道に進めることを好むので、自分の作業に集中したり、気持ちを整えたりできる場所や時間があることを求める人が多いです。
直観タイプほどではないですが、片付いてないことを気にしない人・片付けが苦手な人が多いです。説明書を読んで道具を使うより、やりながら覚えるのが好きです、そのためよく使わない道具や機械、コンピューターは苦手です。
しかし一度からだが覚えたら、その再現性は非常に高く、違いや失敗にも敏感です。
家づくりとの関連で素材感を重視する人が多いのもこのタイプという印象があります。一つ一つの内容を身体に馴染ませながら理解していくので、間取りや図面、CGやパソコンの3Dモデルで説明されても、すぐには実感しにくい傾向が高いように思います。
実際のモデルルームや建築現場に行くと活き活きします。最近の印象ではVRのような体験型のコンテンツの方が、内容を理解しやすいタイプが多いように思えます。
直観タイプ

イメージでものごとを捉えるのが得意な人です。そのためまわりから突拍子もないことを言い出したように捉えられることもたびたび。
感覚タイプと比較して、知覚が素早く、刺激の波に乗っていき、最初にやりはじめたことを途中で投げ出して、そのときに湧いたイメージに従って、次々と行動に移していきます。そのため片付けが苦手です。
道具は仕舞って見えなくなっているよりも、使うべき場所に目に見える状態でセットされていることを好みます。他の人が出しっぱなしと思い仕舞ってしまい、あるべき道具がその場所にないと、道具を見失ってイライラします。片付いている、という言葉の定義が違います。
部屋ごとに壁紙の色を変えたりと、頭のモードを変えるための刺激を家のなかに散りばめることで、効率的にスイッチを入れ替えていくことを好む一方で、刺激に飲まれ過ぎて頭がショートすることもしばしばなので瞑想やヨガのような頭の中を無にすることも嫌いではないです。
こうした傾向はイライラしたときの行動にも表れ、目の前にイライラの要因があると気持ちを落ち着かせることができないので、その場から離れて引きこもったり、家出したりします。