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雨が多い高知と雨が少ない高松の理由から四国の気候と地形に寄り添う建築を考える

四国の降雨量

ヒマラヤ山脈が降雨地帯と砂漠地帯をつくる

日本に雨が降る仕組み ヒマラヤ山脈から偏西風によって東アジアへ運ばれる雨雲

こちらの動画は、世界の風の流れ、雨雲の動き、気温の変化を知ることが出来るサイトWindfinderでの1週間の変化を映像化してみたものです。

映像を見るとアラビア海・ベンガル湾の海(インドを囲む海)で雨雲が発生して、ヒマラヤ山脈(中国・ミャンマー・インドのあたり)の方へと引き寄せられて、日本の南西あたりにある台湾を通ってそれが日本の方へと動いてくるのがわかります。

この動きの原因は地球が球形の惑星であること、アラビア海・ベンガル湾の海とヒマラヤ山脈、そして日本列島の地球上での配置にもとづいています。

次の映像を見るとヒマラヤ山脈の南側が真っ赤になっています。日中の太陽によって暖められた空気はどんどん上へと上がっていきます。その空気が上へ逃げてしまって空いたスペースに周囲から今度は空気が流れ込みます。

この力が世界の屋根ヒマラヤ山脈という巨大なスケールで起こるため、アラビア海・ベンガル湾の熱帯の海の温かく湿った空気がどんどんヒマラヤ山脈へと引き寄せられますが、高いこの山脈を湿った重い空気は超えることが出来ません。

アラビア海・ベンガル湾とユーラシア大陸の夏の気温変化

この時日本列島、ヒマラヤ山脈の緯度が一つ重要な要素となります。日本列島、ヒマラヤ山脈がある30度~65度の中緯度帯は偏西風と呼ばれる西から東向きへと吹く風が吹いています。これは地球が球形をしていて、回転していることによって生じています。

球形をしているため回転軸に対して中心から直角をなす面、いわゆる赤道の部分が一番光を=熱を受けて、逆に回転軸のある北極・南極が一番光を=熱を受けません(実際には地球は軸が傾いているため季節変化が生まれ、その時々で関係はより複雑に変化します。)。

この赤道と両極との太陽からの光=熱量の差を均質にしようと流体(空気、水など)が動きます。地球が回転していなければ赤道から両極へ真っすぐ向かうのかもしれませんが、回転しているため慣性力が働きます。

この時の慣性力をコリオリの力と呼び、風の向きに対して時計回りに直角(北半球の場合は南から北に対して時計回りに直角なので、西から東)に働きます。

この西から東方向への力を受けた大気循環の風が「偏西風」です。この偏西風がヒマラヤ山脈という地球一番の吸引力を持つ山へ引き寄せられた雨雲を西から東へと運び、東南アジアや中国、そして日本へ運びます。

地球の大気循環と地域の気候_低圧帯・多雨と高圧帯・乾燥
中緯度高圧帯は東南アジア・東アジアとアメリカ南部以外は乾燥して、世界の主要な砂漠が存在する地域 航空写真:pixabay を編集

通常、日本がある中緯度帯は赤道側の低緯度からの空気循環と高緯度からの空気循環が重なり合って高気圧になりやすく(中緯度高圧帯)乾燥して砂漠になりやすいそうなのですが、

ヒマラヤ山脈のモンスーンの影響で砂漠にならずに四季のはっきりした気候となっているそうです。

こうした緯度による気候の違いはアメリカ大陸を見るとはっきりします。

北アメリカのロッキー山脈、南アメリカのアンデス山脈が太平洋側からの湿った空気を遮り、乾燥した空気を裏側へ送り込みますが緯度によって裏側の状況は異なります。

低圧帯である熱帯付近のアマゾンはアンデス山脈の裏側やカナダのロッキー山脈の裏側でも緑が茂り、高圧帯であるロサンゼルスのロッキー山脈の裏側のニューメキシコやアリゾナ、アルゼンチンのアンデス山脈の裏側では砂漠、太平洋側には緑と違いがはっきりと表れています。

瀬戸内海の少雨・乾燥はアメリカ大陸のような明快さはありませんが、①本来なら乾燥する地域にあり、②そこにモンスーンによる雨雲が入り込むが、③山によって阻まれることで、その裏側が山からの乾燥した空気の流入もあり乾燥する、という地球全体の大気循環と地域の地形とが関係し合うことで生まれているのです。

山脈の裏側にできる雨の降らない乾燥地帯

上の地図は国土地理院の地図を標高1000m以上をオレンジ、2000m以上を赤で塗分けたものです。インドから中国にかけての赤色の塊がヒマラヤ山脈です。

下の地図でみると、ヒマラヤ山脈の赤い塊から右側(東側)へ伸びるオレンジの領域よりも下側(南側)に緑の地帯が、赤い塊、オレンジの塊に黄土色の地帯と明確に分かれているのに気づきます。

中緯度の偏西風はアジアではこの赤からオレンジの塊の山々をガイドとして海からの水が山々へと引き寄せられ、西から東へと流れていきます。

そのためユーラシア大陸の南側の海から暖められた湿った空気が高い山脈に阻まれて雨として降り注ぐ裏側には雨が到達出来なくなります。このような山脈に遮られたエリアが砂漠になったものには雨陰砂漠というわかりやすい名前がつきます。

西日本に春先にユーラシア大陸から飛来する黄砂の砂はこのヒマラヤ山脈からの裏側に生じた雨陰砂漠であるタクラマカン砂漠やゴビ砂漠の砂が、偏西風に乗って日本まで届いているものです。

このように日本に降る雨や砂はインドから日本までのアジアの地形や気候に大きな影響を受けています。日本の生活は貿易による経済のつながりだけではなく、地球の大気の動きによってもつながっていることが見えてきます。

四国山脈 がつくる 降雨地帯と雨陰砂漠

先ほどのインド・中国からの視点を日本にぐっと寄って、四国の雨雲の様子を見たものが上の映像です。太平洋側から流れてきた雨雲が石鎚山を主峰とした石鎚山系・四国山地に当たり山地の南側に雨を降らせます。(その一方で裏側に当たる北側は雨が降っていないのが見えます。)

この傾向が北の香川を中心とした瀬戸内側と南の高地を中心とした太平洋側で大きく降水量が異なる特徴を作り出します。

四国山脈を境に切り替わる少雨地帯と豪雨地帯、河川の経路が左右する利水環境

上の図が国土地理院の標高を色分けした地図を四国を中心に寄ったものになります。

下の図が四国の年間降雨量の分布を示したものになります。上の図のオレンジ(標高1000m)が集まっている四国山地の連なりを境に降水量が2000㎜以上、多いところでは3000㎜を超える日本でも有数の多雨地帯と、日本の平均降水量を1700㎜下回る少雨地帯に分かれます。

高松は1000㎜程度と少雨地帯のなかでも特に雨が少ない都市部であり、さらに松山や徳島には重信川や吉野川という大河川によって、多雨地帯に降り注いだ雨が都市部までもたらされますが、高松にはそういった大河川がありません。

愛媛県の新居浜や西条のように四国山地と隣接していないため四国山地北斜面からもたらされる豊富な湧水もまた徳島へと向かう吉野川によって分断されてしまいます。

山脈によって生まれる気候・文化の違い

まだ自動車や道路が発達していない時代は山越えは大変な作業でしたから、山と谷のつくりだす圏域がひとつの文化圏となっていきます。

さらにより大きな地形と気候の影響で育てやすい作物や成長速度や旬の季節が変わっていくことで文化圏のバリエーションが多様化していきます。こうした地形や気候の違いに、江戸時代の藩ごとの自給経済の仕組みが組み合わさることで、独自の文化圏がより濃く熟成していく機会を得ていたと言えます。

急峻な産地を中央に持ち、海も内海と外洋という大きく異なる性格の海があり、そして大阪・京への動脈に面する地域とそうでない地域といった社会的なレイヤーもまた、多様化へ大きな力を与えています。

このような気候と地形によってもたらされる環境の違いが四国という島に多様な文化の生態系を作り出しています。四国の伝統民俗芸能の分布や特徴は「四国の多様な お祭り ・ 芸能 Diversity of Shikoku’s intangible culture and festivals」でも紹介しています。

1雨が多い高知と雨が少ない高松の原因は? 四国 の気候と地形と建築 2日本に雨が降る仕組み ヒマラヤ山脈から偏西風によって東アジアへ運ばれる雨雲 3四国 の降雨の違いが建築を姿を変える 4雨を遠ざける方法、軒の深さ、雨よけ板、覆い屋

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「雨が多い高知と雨が少ない高松の理由から四国の気候と地形に寄り添う建築を考える」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 四国のお祭り・民俗芸能 | Studio colife3

  2. ピンバック: 暖冬化していく日本と四国のこれからの冬の気候 | Studio colife3 自然とともに生きる建築

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