2100年代は人口は1960-70年代の松山市? 地区人口統計と過去の航空写真から見る

松山市郊外エリア 高齢化進展エリア

中心部からすぐ外側で松山市の平均よりも高齢化が進んでいるのが、三津浜や高浜などの港側のエリアと堀江や和気などの北側のエリア。田んぼの宅地化が進んだ久枝・潮見までくると平均的な割合となります。

高齢化が進む城西エリア

北条の松山市寄りのエリアとの比較から考えると、空襲の影響がなかった影響で旧い町割りが残り、車社会向けでない街区となっている影響や田んぼを残し宅地開発を進めなかった影響(そこに古い街区が被ってくる)が数値となって表れているように思えます(参考:愛媛県松山市三津浜商店街の建築設計リサーチ_これからの職住一体の古い湊町)。

特に高浜や三津浜は子ども世代の割合の低さがと高齢者の割合の高さの両方が顕著に出ているところから、そういった戦時の歴史や都市基盤の影響だけでなく、産業の社会的転換の影響もあり、人口流出が他の地域よりも顕著に出た影響が数値に表れているように思えてきます。どちらも港湾施設をもち、旅客や物流で栄えたエリアであるが、旅客は船から車へと代わり、物流は船舶の大型化に地形が対応することも出来ず、主要エリアが他へ移っていった。そこに住宅地化を阻む空襲を免れた古い街区が、良い意味では古い街並みを残し、悪い意味では人口流出の抑止を阻んだと言えるように思えます。

松山市郊外エリア 三津浜、宮前、高浜、潮見、和気、堀江、久枝 の 年齢別 の 人口数 比率

エリアの中心となっている北条地区

旧北条市のエリアは北条までの松山市側のエリアとその奥側とで傾向が異なります。松山の中心部側の粟井や河野地域の20-30代の割合の低さは、外への人口流出の傾向を示しており、団塊の世代、そのジュニアに、開発が進んだ時期のまとまった子育て世代・子ども世代がそこに組み合わさった三つのコブが特徴的なグラフを描いています。そのなかで北条地域が松山市の平均と似た傾向を示しており、古くからの地域の中心的な存在を保っていることが見えてきます。

北条も久米と同じように古代からの集落エリアであり、地形分類を見ると扇状地に立地していることがわかります。条理区画の田んぼが等高線に平行して並んでいます。JRの線路がこの扇状地の際を走っているのが、地盤の安定さと地域の土地利用状況・用地買収のしやすさを考慮した結果なのだろうと想像できます。

松山市郊外エリア 北条、粟井、河野 の 年齢別 の 人口数 比率

若返える道後地域

道後は愛媛大学と観光業の影響か20代が多いのが特徴です。

古い町割りを持ちながらも若返る道後

愛媛大学周囲の人口増加と世帯の単身化が進んでいることが世帯数との比較で見えてきます(道後北代1.61人/世帯、道後今市1.48人/世帯、道後樋又1.28人/世帯、道後一万1.57人/世帯、いずれも世帯数、居住者数は増加傾向)。これとは別の傾向で道後温泉周辺は人口減少と単身化が同時に進んでいます(道後2丁目は例外でファミリー層の増加と人口増が進む)。そして意外と子育て世代が定着しているのか子ども世代の割合が存在しています。

これは道後公園の裏手の広場に平日の夕方に子どもたちが遊んでいる姿からも想像できます。それに対して高齢者の割合は平均よりも少なく、世代交代が進んでいることが見て取れます。

それに対して三津は同じ空襲を免れた古い街区を持つ地域でありながら、若年層が松山市の平均よりも低く、高齢者の割合は平均よりも高い。住吉1丁目、2丁目、そして三津1丁目と古くからの町のエリアほど高齢化の単身化が顕著です。地域全体で世帯当たりの人数が2.03人/世帯と子供がいないことが数値に表れています。グラフには内子町の人口比率を参考に重ねました。50代の人口ボリュームが三津は多いという特徴に違いがありますが、松山市の平均よりも内子町の平均に近いことがよく分かると思います。このように三津浜の現状が単なる古い街区の問題だけとは考えづらく、より複合的で立地条件や歴史的条件において、結構特殊な地域であることがぼんやりと見えてきます。

松山市 道後、三津浜、内子 の 年齢別 の 人口数 比率

市域外周部、島嶼部

市域の外周部、島嶼部を担う地域になると、より高齢化・過疎化が進んだエリアとなってきます。松山市の平均と合わせて内子の平均を重ねていますが、小野や荏原といった幹線道路や平野部を含むエリアと内子が変わらないような数値を出しているので、立地を活動で克服する術の存在を感じさせます。旧中島町地域は特に人口流出が進んだ結果を示しており、65歳以上の人口の割合がおよそ7割程度にも及んでいます。特に団塊の世代までの割合が非常に高く、2050までのあいだで大きな構造変化が訪れることが予測されます。現代社会において人口バランスを取る難しさを改めて感じさせるグラフとなっています。

松山市 湯山、伊台、小野、浮穴、荏原、内子 の 年齢別 の 人口数 比率
松山市 日浦、五明、坂本、浅海、立岩、正岡、難波、内子 の 年齢別 の 人口数 比率
松山市 市域外周部、島嶼部 睦野、東中島、西中島、神和 の 年齢別 の 人口数 比率
11960年代、1970年代、そして現在の松山 2松山市域の中心部の年齢別人口比率の状況 3松山市郊外エリア 子育て地域 4松山市郊外エリア 高齢化進展エリア

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