気軽に建築VR- How to Meta Quest Sketchup 3D Warehouse & Sketchfab
3Dmodel の SNS sketchfab
3Dモデルを共有する方法は3Dwarehouse以外にも、いろいろあり、objデータなどが主流ですが、sketchfabがプラグインを介してsketchupデータのアップロードも可能です。sketchfabではブラウザー上で3Dモデルが動かせて、さらにVRも行うことが出来ます。フリーでダウンロード可能なものや、プロモデラーの方々が3Dモデルを販売していたりもするので、3Dコンテンツを見つけたい時にも良いかもしれません。
sketchfabへの建築VR用のモデルをアップロードする際の注意点
sketchfabの使い方が彫刻やフィギアや家具などの3Dオブジェクトを共有することがメインで、建築の3Dを共有することはどちらかというとサブの領域になっているようだったので、建築VR用のモデルのアップロードの際の注意点をまとめておきます。ライセンスやアカウント作成、アップロードに関してはlecture.nakayasu.comさん、路上博物館さんのページがわかりやすかったので、そちらをご参考ください。
1点目がVR用のスケール設定についてです。skechfabにアップロードされている建築モデルをVRモードで見ている際に多くのモデルが建築模型スケールで表示されることに気づきます。これはデフォルトが先ほど述べたように彫刻やフィギアなどを目的としたユーザー向けのため、スケール設定をし直す必要があるためです。このスケール設定は3D settingsから行うことが可能です。3D settingsの編集画面に入ったら、VRARのタブがありますので、そちらをクリックします。そうすると一番上にスケールを調整するボックスがあります。1mをモデルの1単位として調整することになるので、3Dモデルデータを書き出すときにモデルの単位をm/メートルに設定しておくと楽です。1.75mの身長の人がスケールの単位となっているので、身長を小さい人の場合は少し数値を減らして(0.95など)、身長の高い人の場合は増やして(1.05など)調整すると良いです。



2点目が影の設定です。電球マークのタブがライティングのタブになります。こちらの一番下の方にshadow biasをいじれるボックスがあります。デフォルトの数値の場合は影がオブジェクトから少し離れてしまいますので、不自然でない程度まで数値を小さくして調整します(アップロードするモデル側の設定次第で調整の仕方が変わるかもしれないのでご注意ください)。この他にライティングのタブでは影の向きをorientationで、またLightsをONにすれば追加のライトの設定もできます(模型などのオブジェクトを表示する向きの設定)。VRで入った際に、モデルから離れたところで表示がはじまり、モデルまで辿り着けないケースがたまに生じます。特に高低差がある場所でスタートして、必要な高さまで登れない場合。そうした場合は3D settingsのなかで先ほどのVRのスケールを合わせた際に表示されていた人がVRモード時のスタートの位置になるので、スタートさせたい場所に移動させて向きをセットしてください。その場所からスタートしてくれるので安心です。またブラウザ上の開始位置もSAVE VIEWのボタンを押すと、その視点からスタートになるので便利です。動画はsketchupからobjファイル書き出ししたモデルをsketchfabへアップロードしたものになります。モデルはaldo van eyck設計、Kröller-Müller Museumのsculpture pavilionです。



こちらはskectchupのモデルをpluginからアップロードしたものになります。モデルはスカイハウス、設計:菊竹清訓です。VRはPCにゴーグル接続させるか、ゴーグル側から直接ブラウザーでページを開くかして、画面下部にあるゴーグルのボタンから行うことが出来ます。 VRの画面は下の動画をご確認ください。影の描写があるのでtwinmotionに近い感じでありながらブラウザのみで動作するので、PCとのコード接続なしでスムーズに表示できるのが嬉しいところです。
現在アップロード中の3Dデータに関してはこちらからご確認ください。
いくつかsketchupデータをアップロードした感じでは、objなどの3Dデータにsketchupデータを変換してアップロードした方がスムーズにアップロードできる印象です(pluginの場合は時間が掛かる印象)。またpluginの場合はエッジがデフォルトで再現されますが、objなどの3Dデータの場合はアップロードの際の3Dsettingにてwireframeのチェックボックスを入れないとエッジは表現されません。マテリアル関係はpluginの方が前処理なしで反映される確率が高い気がします。objなどの時は場合によってはグループではなく、面データに直接マテリアルを貼り付ける必要があります。その他にも違いがあるのかもしれませんが、現段階の気づきです。
メディアとしてのVR
VRは一瞬を切り取るという能力は写真には劣ると思いますし、意図を持った構成のストーリーを伝えるのは映画には劣ると思います。しかし3Dモデルのなかを一定の自由度を持って動き回ることができる点はその二つにはない能力であり、かつPC上での3Dアプリがカメラの視点という感覚から逃れられないのに対して、VRはより人間の自然な視点の感覚に近づけられてあるので、より直感的に視覚情報を捉えることができるのが利点です、変わりに俯瞰的な視点やスピーディーな操作性はPCの3Dアプリに軍配が上がるでしょう。このように、それぞれのメディアで一長一短の異なる性質があると捉えるのが正しいように思います。
より直感的に視覚情報を捉えることができるという能力は、建築主さんへの説明のみならず、施工者への説明の際にも力を発揮します。図面やCGだけよりもよりスピーディーに建築のイメージを把握して頂け、そのイメージを核に情報を継ぎ足していくことができるので、情報伝達の効率が上がります。PCアプリの場合は操作方法を理解する・慣れるのに初心者だと時間が掛かるのに対して、VRであればそのハードルが下がるというのも大きな利点となります。特に、広いスペースで実際の建築と同じように歩き回れる環境があれば、操作の部分での心配はほぼなくなると思います。
直感的に捉えられる利点は建築教育の分野でも大きな意義があるところだと思います。特にまだ図面の読み方や写真から建築の全体像を想像することが苦手な学び初めの頃に手軽に限定的なかたちとは言え様々な建築に触れられることは大きな利点となります。昔は図面のトレースを通して、図面表現や建築の構成を勉強する時間がありましたが、最近は3Dモデリングとなり、その3DモデルをVRで体験することは、モデリングでの作業と立ち上がってくる空間との頭の中での結びつけの手助けをしてくれると思います。実際に建築を見に行く前の学習方法としてもどのような場所に注目すべきか?またVRと実際の建築との比較から見えてくる建築ならではの視覚情報以外の重要なポイントにも意識的になれるでしょう。
VRゴーグルの普及速度がどの程度なのか?はわかりませんが(もしくは別のVRを可能にする視覚デバイスの普及)、VR体験というのがこれまでの図面や写真や映像や3Dモデルとは別の建築メディアとして普及していく可能性は十分にありそうだと感じました。読者層へ作家から情報が伝達されるというメディアとしての特性を持ち、建築に関してこれまでと異なる角度から、それを行える媒体だと思います。
そうした観点で考えた時、VRは建築写真や建築映像のような視点がはっきりと定まったメディアに対して、相対的に限定しないものとなりやすいため、マスメディアとしての機能では劣るように感じます。どちらかと言えばyoutubeやtiktokのようなHow to 動画集、やってみた系動画集のようなマスコラボレーション型?のメディアの方が向いている感じがします。メディアを求める意図もより多様化するタイプのメディアのように感じます。
これまでも図面情報の公開がプライバシー面やセキュリティ面などで課題があったのと同様に、VR用のデータというのも、そういった課題をクリアしたものになるでしょうし、侵入のための情報という意味合いではこれまで以上にリアルな建築に近いかたちで情報が提供されるので、なにが公開され、なにが秘匿されるべきか、といった選択が必要にはなるように思います。
建築VR体験に興味がある方
建築VRにご興味がある方がいらっしゃったら、体験モニターを募集中です。
ご希望の方はコンタクトフォームより問い合わせください。
VRの参考動画はこのページのもの以外にもyoutubeにもいくつかアップロードしていますので、よろしければ参考にしてください。 youtube再生リスト:Sketchup Viewer for Meta Quest で VR を試してみた
sketchfabにアップロードしている3Dモデルはこちらからご確認ください。
sketchfab 3Dmodelリスト