Period / Ka na ta
身体と服・ファッションと建築

身体と服を感じる空間
原宿と渋谷の間のセレクトショップの内装/インテリアの設計・施工。
ファッションブランド ka na ta の ショップオープンイベント。
ビルの地下の一室を㎡1万弱の低予算と短い工期で、ブランドイメージに添ったインテリアへすることが求められた。
それが「身体と服の境界をなくす」という設計側で解釈していた目指すべき空間のイメージであった。
まず最初に、服と人との接点をどのように解釈すべきかが課題となった。
服と身体の接点
通常の店舗では、マネキンに着せられた服、ハンガーパイプに固定された服、折りたたまれた並べられた服と、衣服は固定され陳列されている。しかし、ここで求めれていたのは固定された状態にある服ではなく、人と戯れ、人と交わる服であると感じられた。我々は、服を様々な高さから0.5mmのステンレスで吊るすことで、服に繊細な緊張感を与え、人と服との接触に小さな躍動感を加えることを考えた。
服と壁面の接点
店舗の壁は、低予算の中で一番コストに関係する大きな障害となった。通常コストを下げることを考えるとボードに塗装や壁紙で、フラットで主張をなくし、服そのものが浮き立つようにするのが常套手段となる。しかし、クライアントからの提案はもっと手の痕跡がみえる、衣服と対立するような、会話するような関係の壁だった。
低コストを実現するために選んだのは、通常は石膏ボードなどを貼り付けるために使用するGLボンドという石膏系の接着剤である。接着剤として利用されるので、粘度が高くかつ接着性が高い=手業は求められるが様々な表情が作りやすい、そして低コストである、と求められる条件をクリアするには適切な素材だった。下地材のコストを省くため、前の店舗の壁面をそのまま残し、白い内臓のような襞をもった独特の表情をもった壁を創り出した。
天井は躯体を露出し、カウンター部分は明度を落とし逆に出来る限りフラット仕上げることで、原宿という立地のもつ都市的な表情を対比的に対置させることで、白い壁面のもつ表情を強調させている。
身体・服/建築・環境
ヒトは服を通して、環境(社会・自然)と接している。
ヒトは服という非言語コミュニケーション手段を通して、社会へ情報発信をし、そのリアクションを受け取る。
ヒトは服というインターフェイスを通して、自然環境の変化を吸収して、自分たちに快適な環境を整える。
そうすることで、環境の一員となり、身体は環境へと溶け込んでいく。
同じことは、建築にも言える。
ヒトは建築を通して、環境(社会・自然)と接している。
ヒトは建築という非言語コミュニケーション手段を通して、社会へ情報発信をし、そのリアクションを受け取る。
ヒトは建築というインターフェイスを通して、自然環境の変化を吸収して、自分たちに快適な環境を整える。
そうすることで、環境の一員となり、身体は環境へと溶け込んでいく。
服 も 建築 も、 社会と自然を調停することが出来るものである。一つの橋/bridgeである。





