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脳から 個性 と あこがれ を見直す、自分たちに馴染む家づくりとは?

MBTI-間取りパターン

なぜ多くの人が「もっと狭くてよかった」と思うのか? – 家づくりの見えない落とし穴

松山市で住宅を建てられて長年住んでこられた方々にお話を伺う機会があり、ヒアリングをした結果、共通しておっしゃっていた回答が「家がもっと狭くてよかった」というものでした。それに対して建てるときになぜ大きくなったのか?と質問したところ「若いころは大きな家にあこがれる」「CMや雑誌やドラマに出てくる家はみんな大きな家」とと、おっしゃっていました。

はじめての家づくり、で一生に一度の家づくり という条件は建て主さんたちにとっては過酷な条件で、なにを手がかりに考えれば良いかも、手探り状態にあると思います。ヒアリングした方々や住宅業界の方々のお話を聞くと、住宅の広告競争の激化によって流行の移り変わりが激しさを増して同じハウスメーカー・工務店さんが5年10年もすれば全然違う価値観に変わっているということはよくある印象です。

こうした状況におかれた場合、深く考えていないあこがれやイメージで決めたことから生まれた後悔については自分のなかで消化しきれていなくて、後悔したという感情が残り続けてネチネチと後を引いている印象を持ちます。

あこがれをきっかけに自分で深く考えて決めたことにも後悔は起こります。ヒアリングのなかでは床の色を他の家族や設計者の反対を押し切って決めたが後悔しているという方がいました。

しかし後悔の質が違っていて、潔く割り切れている後悔で、後に引いていないように感じます。あこがれのプロセスで後悔の質が変わるように思えます。

スマホ・TVCMと家づくりはあこがれを誇張し、個性 が あこがれと同化する

最新の脳科学の研究結果では、喜びや幸せを感じるホルモン分泌の基礎条件には自分自身や他者への理解共感にもとづいた意思決定が重要な役割を果たしていることがわかっています。

古くから倫理や哲学で言われてきた主体性の重要性が科学的にも証明されてきています。安易な固定観念に意思決定を委ねるとこうした喜びや幸せのホルモンを逃がしてしまいます。

こうしたホルモンは自己肯定感への大事な鍵です。私は家づくりにおいても自己肯定感は非常に大事な要素だと考えます。

「子どもは親の言うことを聞かない、けど、親のやることを真似る」という話しを色んなご夫婦からお聞きします。

さらに真似て欲しくないことを真似る、というように形容される方もいます。大人になるということ、親になるということは「真似される」側に立つということだと実感させられます。私たちは無意識的に真似たい・真似たくない・真似られないと感知する相手の特徴のことを「個性」と呼ぶのだと思います。

後悔しない家づくりの暮らしとは、

  1. 他人がつくった固定観念に自分の意思決定を委ねず
  2. 自分の個性を理解した意思決定によって、喜びや幸せから、自己肯定感を感じられる
  3. 人に真似られても構わない暮らし、子どもに真似られても構わない暮らし

と言えると思います。

あこがれと二種類の後悔

あこがれとは、他の人の良いところを自分に取り入れたい、真似たいと思う感情と言えると思います。ヒトの脳は、このあこがれを最初の起爆剤としてモチベーションを高めながら、相手を理解し、自分に足らないことを理解し、真似をしていって、あこがれに近づいたと感知したときに喜びのホルモンが分泌されて達成感を得ます。

あこがれとは自分を理解する上でも、相手を理解する上でも大事な感情であり、決して否定的に捉えるものではありません。家づくりのなかでも建て主さんがどのようなものへあこがれを抱いているかという情報は非常に大切なものだと考えます。

後悔とは、このあこがれのプロセスの最終的な達成感/喜びホルモンが得られなかった状態であると言えると思います。意識的、無意識的に関わらず期待していたものを得られなかったことによる喪失感です。

あこがれのプロセスの途上で生まれる後悔を妬みと言い、妬みのなかにも目標達成のモチベーションとなる妬みと、目標達成へ向けられずに留まり続ける妬みの二種類があるように思えます。

ネチネチ後を引く後悔 と トラウマ・依存症との類似性

ネチネチ後を引いている後悔は、こうした留まり続ける妬みのようにあこがれのプロセスの途上に留まり続けている状態だと言えるように思えます。

それに対して、潔く割り切れている後悔とはプロセスは完了していて記憶の中に過去のこととして片づけられている後悔です。

こうした留まり続ける未消化な感情の極端な例がトラウマだと考えられていますから、ネチネチ後を引いている後悔とは弱いトラウマとも言えるのかもしれません。

二つの後悔の違いはあこがれのプロセスが途上にあるか、完了しているかです。意識的か、無意識的か、強いか弱いか、はわかりませんが途上にある人はあこがれのスイッチが入りっぱなしになっている状態です。

トラウマを持つ人や依存症を持つ人がトラウマや依存の対象に類似したものを感知・認知したときに当時の感情が呼び出されるように、あこがれとのギャップを見たときに、後悔が呼び出される状態なのだと思います。ネチネチ後を引いている原因とは、このようなところに一つはあると考えます。

トラウマや依存症では、プロセスを完了させるためには、自分と対象と向き合い、分類し、理解し、記憶を上書きしていくことが有効だと言われています。

そうすることで感情のスイッチのコントロールができるようにしていきます。家づくりでネチネチ後を引く後悔をしないためにも、しっかりと自分たちやあこがれと向き合っていって欲しいと思います。

同じことは建築家や設計者の側にも言えて、自身の主義主張や世間の流行、建築主の言葉の表面に惑わされずに、真摯に自分自身とそして相手と向き合って欲しいと思います。

「もっと家が狭くてよかった」という言葉が本当の後悔の原因を指しているのかは、今回のヒアリングでははっきりとは分かりませんでした。建物の大きさの問題以上に、あこがれた「広い家」が持っていたイメージが達成されない現実や言葉にできないあこがれを、このような言葉で表現していて、それがたまたま「もっと家が狭くてよかった」という共通の言葉となって表れているようにも感じます。

片付けから個性を考えてみる

はじめに述べたようにヒアリングしたすべての方が「家がもっと狭くてよかった」といい、その多くの方は理由として「片付け」の大変さを挙げていました。

ただし同じ「片付けの大変さ」という言葉でも、中身は千差万別です。

  • 単純に広いために時間が掛かることに不満を持っている人もいれば、
  • 片づけた側から散らかって片付けが終わらないことに不満を持っている人、
  • 自分の片付け能力の限界を超えた規模のため片付けができないことに不満を持っている人、
  • 広いがゆえに片付いていない白無地の布の一点の染みのように粗が目立ち気になることに不満を持っている人、

このように多種多様です。片づけに限らずですが、自己啓発 や 家づくりや間取りのHow to 本 を読むと万能薬のようなアイディアが載っていますが、これまでの設計の経験から考えると、そんな都合の良いものはなくて、自分に合ったやり方で習慣化できる方法を選ぶことが一番大切だと思います。

潔く割り切れている後悔を、記憶の中に過去のこととして片づけられている後悔と先ほど呼んだように、記憶と関わりが深い活動です。

「片付け」は生活の基本的な活動の一つになっているので見過ごされてしまいがちですが、脳のさまざまな領域を連携させて行うプロセスであり、感知・モチベーション維持・認知・分析・記憶といろいろな能力が求められ、家づくりにおける自分たちやあこがれへの理解とも関わりが深い活動です。

片付け とは、その人の個性が表れやすい活動の一つと言えると思います。

片付けの大変さ という理由は、あこがれが消化しきれていない=片づけられていないこと、仕舞われていないことの象徴なのかもしれません。

脳科学から片付けを考えてみる

「片づけ脳」という片付けを脳科学の観点から解き明かしている二つの本「生き方上手になるための「片づけ脳」の育て方 著:篠原 菊紀」「片づけ脳──部屋も頭もスッキリする!  著:加藤 俊徳」をまとめると、次のようなステップが片付けには必要だとまとめられます。

  1. 汚れや整理整頓されていない状態を不快に思う:整理整頓されている状況に対しての感受性
  2. 行動にスイッチを入れる:感知した雰囲気のモチベーションを高められる敏感さ
  3. ものごとを分類して、整理する:状況を冷静に把握し理解する能力
  4. 空間・時間のなかに、分類したものを配置する計画を立てる:実行に必要な要素を抽出する能力
  5. 計画を実行する段取りを考える:抽出された要素をもとに実行の計画を立てる能力
  6. 計画を実行する:実行力
  7. 実行結果を評価する:記憶・習慣化する能力

例えば不快に思うだけでも、スイッチが入らなければ、片付けは始まらないですし、ものごとを分類し、計画を立てる能力があっても、不快に思わなければ、片付けは自主的にははじまりません。

こうした違いが、「片付いている」という感覚の違い・価値観の違いとなって具体的に暮らしの中のモノや道具の配置となって表現されてきます。

例えば、

  • 収納のなかに仕舞っていないとダメな人:整理整頓への感受性がしっかりしているので、出しっぱなしに強い不快感を覚える
  • 使う道具は目に触れられる状態にしていないとダメな人:スイッチを入れてモチベーションを高める能力が低いので、視覚的にスイッチを入れる必要がある
  • 大きさ順や色別などルールに従ってないとダメな人:分析・分類能力が高く、分類の達成感に浸っている
  • 他人の片付け方に不満を感じず柔軟に対応する人:整理整頓に対する感受性が低いため気にならない

どの部分に重要性を置くタイプか、ストレスを感じるタイプかで同じ「片付け」でも全然違うものになってくるのです。こうした意識されない癖や習慣によって行動される「当り前」となっているものが、実は家づくりで暮らしを考える上で、非常に重要な部分になります。

こうした感覚は当り前過ぎて、重要視されることなく、見過ごされることが多いため、家づくりにおいて後悔につながる可能性が高い落とし穴となっていると思います。

特にそのステルス性ゆえに家づくりをしているときの相手の建築家や設計者、営業さんに、日々のしぐさや行動から伝わっていなければ、自ら意識的に提示しなければ見過ごされてしまいます。

こうした観点からも家づくりにおいては、そうした素がお互いに見せることができる信頼関係が非常に大事になります。

心理学や脳科学がつたえる個性 – 性格診断・認知テストの活用

自分を理解していることが大事、と言われても、自分のことは実は自分が一番わからない!

というのが、多くの人の感想ではないかと思います。家づくりに対して、どのようなことに気を掛けて、相手に伝えなければならないのか、迷ってしまうことも多いと思います。

こうしたときに便利なのが心理学で使われる性格診断や認知テストです。空間認知テストや質問に答えることで、自分の特性を占い感覚で使うことができます。

(※専門家の診断を受けるのではなく、個人で使う分には実際に占い程度の信用度で使うのが良いと思います)。

最近ではMBTI(Myers-Briggs Type Indicator)の基本的な考え方の紹介という性格診断として流行しているカール・ユングの心理学をもとにしたものが有名でしょうか?同じようにユングの心理学をベースに脳の使い方をタイプ分けしたジル・ボルト・テイラーのWhloe Brain もあります。

タイプ別の表示形式で出力される無料の性格診断サイト

無料で手軽にやれるものとしては16Personalities性格診断テストがあり、診断のベースとなる考え方は上記二つとはまた異なりますが、似たような表示形式での結果が出力されるので、コミュニケーションの出発点として利用するには一つの手ではないかと思います。

私がカール・ユングの心理学をもとにした診断(俗にいうユングのタイプ論)が家づくりをやる上で適していると感じているのは、

ものごとの知覚(感覚・直観)判断(思考・感情)方向性(外向的・内向的)という人の行動の基本的な要素をもとに人の特徴を分類して、それらをどのように組み合わせているか?また長所短所とどう向き合っているか?向き合える可能性があるか?ということを整理しやすい点、

固定的な性質として結果を捉えるのではなく、自己成長・変容していくダイナミックなものとして、診断結果を捉えている点、

その基本的な要素を脳科学を通して、具体的な脳や身体の解剖学的な視点から捉えることができる点

になります。

コラム:家づくりにおける空間認知能力

住宅・建築の設計をしている際に、お施主様の空間認知能力というのはさまざまであることを実感します。これは図面を読める力の高低からCGへの理解力といったこちらからのプレゼンテーションに対する反応の仕方の違いから感じる面と、お施主様のご要望の表現の仕方の違いから感じる面とあります。

家づくりがはじまってから空間認知能力を鍛える必要はありませんが、自分の空間認知能力がどうなっているのか?を知っておくことは、どのような空間・間取りが自分に合いやすいかを知る手掛かりとなると思います。脳科学のなかでも空間認知を司る脳の部位はMBTIなどで表現される思考や感情、感覚、直観のどれかに局在するものではないものとされているように、この能力はタイプと関係なく備わっていたり、備わっていなかったりするものだと思います。

空間認知のテストとして代表的なものに次のようなものがあります。

空間認知テスト2
The correct answer is one/j , two/m , three/i , four/six , five/de .
参考:生き方上手になるための「片づけ脳」の育て方 著:篠原 菊紀

どうでしょうか?すぐに答えがわかったでしょうか?

建築のような職業上こうした能力が必須の人たちはテストの結果が良い人が多いです。日々使っているかいないかはやはり大きいと思います。

空間認知能力が高い人は寸法感覚の精度が高く、部屋を立体的に使う能力に長けている人が多いです。要望としても具体的な寸法を指定して家具のリクエストをされます。特に収納棚を細かく高さの違いや幅の違いを指定して、どの棚になにを、どの向きで入れるのかを絵にして持って来られる印象を持ちます。

逆に低い人は寸法感覚が大雑把で、部屋を平面的に使う方が多い印象です。具体的なかたちや大きさというよりは、ラベリングされた名前や日々の動作でモノや空間を把握されている方が多く、数値を尋ねるのではなくてどのような生活をされているのかを順を追ってヒアリングすると、どこにどのような大きさの家具が必要であるかの大枠がわかる印象を持ちます。

こうした感覚の違いが設計段階での部屋のつながり・配置に対しての要望の違いとなって表れてくることがあります。コラムの最初で書いたように図面やCGの読み込みが上手くいってない場合、もしくは興味がなくて見落としていた場合、要望として設計者へ示すことがなく、実際に工事がはじまってから気づくというケースにつながります。

最近はVRで体験していただくと、工事前の段階で具体的に部屋の大きさや配置をイメージしてもらえるので、こうした危険性は減ってきましたが、設計している側としては、お施主様がどこまでこちらの提案を理解しているのか、というのは、いつも不安になる部分です。AIを使ったCG作成や間取り提案が進んできていますが、こうしたお施主様自身が使うには受け手側の理解力がボトルネックとして残り続けそうだと感じています。

もし図面やCGから自分の暮らしをイメージできていないときは、素直に建築家・設計者にお伝えいただくか、イメージ出来る提案をしてくれる建築家・設計者を改めて探して、円滑なコミュニケーションを行える相手と家づくりをすることをお勧めいたします。

MBTI タイプと空間デザインの関係を考える

ユングの心理学やMBTIでは、

  • ものごとに対する向き合い方で 外向型/内向型 (Extroversion / Introversion)
  • 知覚の仕方で 感覚型/直観型 (Sense / iNtuition)
  • 判断の仕方で 思考型/感情型 (Thought / Feeling)
  • MBTIでは外部に対して判断と知覚のどちらが主となっているかを明記します 判断型/知覚型 (Judgment / Perception)

に分けます。MBTIのアルファベット(例:ENTJ-外向思考(判断)直観タイプ)はこのような性向の違いを表しています。

ユングのタイプ論、4つの根本タイプの関係図から考える 自分の 個性
ユングのタイプ論:ものごとへの向き合い方と4つの主要タイプの関係図(MBTI タイプと空間デザインの関係を考える

判断をするための素材を知覚が提供する、知覚の基礎的要素の一つを判断が提供する、というように、判断の二つの型と知覚の二つの型は、お互いを補い合う関係にあると考えられます。それに対して同じ判断・知覚同士の二つの型が片方が優位(よく使われる)になりやすく、もう片方が相対的に劣位(苦手)な性向となります。

こうした特性と環境条件が組み合わされることで、その状況に対して優先すべき機能が選択され、筋トレのように、使った部位や連携方法が機能強化されていき、主機能が定まっていく(個別化していく)と考えられています。

この組み合わせのパターンから似たもの同士をまとめてMBTIでは次のようなグループとして捉える方法もあります。自分がどのグループに入っているかを知ることは、同じような興味や悩みを持つ人、異なる興味や悩みを持つ人の傾向を知るのに良い方法だと思います。

周囲に与える印象:外向型/内向型 と 判断型/知覚型の組合せ

  • EJ(外向 × 判断 / ENTJ, ESTJ, ENFJ, ESFJ)
    外向的・組織的/明確な方向性を持ち、計画的に行動する。周囲には指導的、組織的な印象を与える。
  • EP(外向 × 知覚 / ENTP, ESTP, ENFP, ESFP)
    外向的・自由奔放/好奇心旺盛で即興的。周囲にはエネルギッシュで自由な印象を与える。
  • IJ(内向 × 判断 / INTJ, ISTJ, INFJ, ISFJ)
    内向的・計画的/深く考え、計画的に行動する。周囲には慎重で組織的な印象を与える。
  • IP(内向 × 知覚 / INTP, ISTP, INFP, ISFP)
    内向的・柔軟/自由に動き、マイペースに考える。周囲には柔軟で独自性のある印象を与える。

動機付けられるきかっけ:判断型と思考型/感情型、知覚型と感覚型/直観型の組合せ

  • TJ(思考 × 判断 / ENTJ, ESTJ, INTJ, ISTJ)
    支配者/秩序、戦略、計画、目標達成に動機づけられる。組織化・管理を重視。
  • FJ(感情 × 判断 / ENFJ, ESFJ, INFJ,ISFJ)
    調和者/人間関係の調和や他者への貢献に動機づけられる。共感と協力を重視。
  • SP(感覚 × 知覚 / ESTP, ESFP, ISTP, ISFP)
    経験主義者/新しい刺激や行動に動機づけられる。身体感覚や瞬発的な反応を重視。
  • NP(直観 × 知覚 / ENTP, ENFP, INTP, INFP)
    探求者/新しいアイデアの探求や創造に動機づけられる。可能性を追求する。

内的緊張(知覚と判断のあいだの葛藤):判断型と感覚型/直観型、知覚型と思考型/感情型の組合せ

  • SJ(感覚 × 判断 / ESTJ, ISTJ, ESFJ, ISFJ)
    安定への不安/秩序が崩れることへの強い不安を抱きやすい。責任感がストレス源になりやすい。
  • NJ(直観 × 判断 / ENTJ, INTJ, ENFJ, INFJ)
    アイデンティティの葛藤/自己の目標や世界観の意味を問う内的緊張が強い。自己実現の葛藤を抱えやすい。
  • TP(思考 × 知覚 / ESTP, ISTP, ENTP, INTP)
    矛盾へのストレス/矛盾や非合理な状況に強いストレスを感じる。論理的整合性を求めるが、現実とのギャップに悩む。
  • FP(感情 × 知覚 / ESFP, ISFP, ENFP, INFP)
    他者との不和への不安/他者との調和や自己表現の不一致に対して強いストレスを感じる。

基本的認知スタイル:思考型/感情型と感覚型/直観型の組合せ

  • ST(感覚 × 思考 / ESTJ, ISTJ, ESTP, ISTP)
    論理的・具体的な認知スタイル/データをもとに具体的・論理的に考える。実務的な思考を重視。
  • NT(直観 × 思考 / ENTJ, INTJ, ENTP, INTP)
    抽象的・分析的な認知スタイル/理論・システムを分析し、抽象的な推論を行う。
  • SF(感覚 × 感情 / ESFJ, ISFJ, ESFP, ISFP)
    経験的・感覚的な認知スタイル/具体的な感覚や経験から学ぶ。実際の人間関係や体験を重視。
  • NF(直観 × 感情 / ENFJ, INFJ, ENFP, INFP)
    直観的・感情的な認知スタイル/直観的に情報を統合し、意味を重視する。

この関係をまとめると下図のようになります。外向型と内向型、4つの主機能に、2つのサブ機能を組み合わせた全部で16パターンの分類が生まれます。MBTIや16personalitiesでの16パターンがこれに該当します。

いきなり主従の掛け合わせを考えると混乱してしまうので、まずは主機能で分類される4つのタイプを家づくりと関係がありそうな視点から説明していきます。

思考タイプ

思考タイプ

思考タイプは論理的な思考でものごとを判断するのが得意なひとです。他の三タイプよりもイメージがしやすいのではないかと思います。計画を立てることや、ものごとを分類するのが得意で、机の引き出しや収納のなかはカテゴリーごとにきちんと整理整頓されている人が多いです。

スマホやパソコン、家電などの新商品・新機能が好きで、家づくりでは断熱性や耐震性などの性能や数値をしっかりと確認したい人が多いのも特徴です。

分類をきちんとする性向から、一つの場所で色んなことをするよりも、すること(寝る・食べる・作業する・くつろぐなど)に対して、それに適した場所を設定して、その行為のための能力を発揮しやすい状況をつくることを好みます。

相手の能力を推し量ることは得意ですが、相手の感情を推し量るのは下手な場合があり、公平さや論理的整合性、合理性を重視した結果、相手の感情を無視してしまい、議論が平行線になることもしばしば。

感情タイプ

感情タイプ

自身のそして相手の幸せや喜びを大事にし、感情的な不和を嫌います。そのため相手のしぐさや表情に敏感に反応して、相手のことを気遣うのが得意です。

そのため特に外向型の感情タイプの人は一人でいるよりも、人と一緒にいることを好みます。内向型の人でも相手への気遣いは強く、気が合う仲間へのさりげないフォローをよく行います。

片付けの得意不得意は人によりますが、片付けいないことで不和が生じることは嫌いなので、片付け能力は決して低くないです。

論理的な分類に限らず、主観的な気持ちにもとづいた分類も積極的に行って、片付けをする場合が度々あります。

そのため他の人からすると、どのような理由にもとづいて片付けされているかを理解するのが難しい場合があります。

これは感情タイプの人が自身の気持ちを言語化するのが苦手で、その言語化をフォローしてくれるサポーター(あれ、これ、と言っただけで、それを類推できるような人など)がまわりにいないときに、よく起こります。

感覚タイプ

感覚タイプ

実感や事実を大切にする人が多いです。同じ知覚型の直観タイプの人と比較すると、しっかりと感覚を味わって、ものごとを感じ取ろうとする傾向が強く、そのため慎重な人に見えます。論理的飛躍や突拍子のない直観的な考えは好みません。

自分のペースで着実に地道に進めることを好むので、自分の作業に集中したり、気持ちを整えたりできる場所や時間があることを求める人が多いです。

直観タイプほどではないですが、片付いてないことを気にしない人・片付けが苦手な人が多いです。説明書を読んで道具を使うより、やりながら覚えるのが好きです、そのためよく使わない道具や機械、コンピューターは苦手です。

しかし一度からだが覚えたら、その再現性は非常に高く、違いや失敗にも敏感です。

家づくりとの関連で素材感を重視する人が多いのもこのタイプという印象があります。一つ一つの内容を身体に馴染ませながら理解していくので、間取りや図面、CGやパソコンの3Dモデルで説明されても、すぐには実感しにくい傾向が高いように思います。

実際のモデルルームや建築現場に行くと活き活きします。最近の印象ではVRのような体験型のコンテンツの方が、内容を理解しやすいタイプが多いように思えます。

直観タイプ

直観タイプ

イメージでものごとを捉えるのが得意な人です。そのためまわりから突拍子もないことを言い出したように捉えられることもたびたび。

感覚タイプと比較して、知覚が素早く、刺激の波に乗っていき、最初にやりはじめたことを途中で投げ出して、そのときに湧いたイメージに従って、次々と行動に移していきます。そのため片付けが苦手です。

道具は仕舞って見えなくなっているよりも、使うべき場所に目に見える状態でセットされていることを好みます。他の人が出しっぱなしと思い仕舞ってしまい、あるべき道具がその場所にないと、道具を見失ってイライラします。片付いている、という言葉の定義が違います。

部屋ごとに壁紙の色を変えたりと、頭のモードを変えるための刺激を家のなかに散りばめることで、効率的にスイッチを入れ替えていくことを好む一方で、刺激に飲まれ過ぎて頭がショートすることもしばしばなので瞑想やヨガのような頭の中を無にすることも嫌いではないです。

こうした傾向はイライラしたときの行動にも表れ、目の前にイライラの要因があると気持ちを落ち着かせることができないので、その場から離れて引きこもったり、家出したりします。

MBTI タイプごとの家具レイアウト例

同じ住宅の同じ広さのLDKに対して、タイプごとの家具レイアウトをして、その違いを間取り図とCGでイメージ出来るようにしてみました。同じ間取りでもタイプごとの違いによって、望ましい方向性が異なることが伝わりますでしょうか?

MBTIのタイプの違いにみる個性の違いから同じ間取りの住まいに対して、4つの家具レイアウトを考えてみました。思考タイプ、感情タイプ、外向型感覚・直感タイプ、内向型感覚・直観タイプの4つです。
4つのタイプごとにみる家具レイアウトパターン

思考タイプ

整理整頓されているのが好ましい

場所ごとに、収納がしっかりと欲しい

用途ごとに場所が個別化して欲しい

機能性を重視したい

MBTI思考タイプ向けの家具レイアウト
MBTI思考タイプ向け家具レイアウト・間取り図

感情タイプ

お互いの表情をちゃんと、常に確認し合えることが好ましい。

家族との触れ合いを大事にしたい。

整理整頓はできるが、主観的な片付けをする場合がある。

MBTI感情タイプ向けの家具レイアウト
MBTI感情タイプ向け家具レイアウト・間取り図

内向感覚タイプ・内向直観タイプ

家族と、慎重に、ていねいな暮らしがしたい。

内省する・無心に浸る時間が欲しい。

素材感や肌触りを大事にしたい。

片づけはあまり得意ではない。

MBTI内向感覚タイプ・内向直観向けの家具レイアウト
MBTI内向感覚タイプ・内向直観向け家具レイアウト・間取り図

外向感覚タイプ・外向直観タイプ

感覚に基づいて一つ一つ行動したい。

イメージを展開させ、刺激の波に乗りたい。

収納より作業平面が欲しい。

習慣を乱さない道具の定位置が重要。

MBTI外向感覚タイプ・外向直観向けの家具レイアウト
MBTI外向感覚タイプ・外向直観向け家具レイアウト・間取り図

このようにタイプごとで望ましい方向性が異なり、ここにパートナーのタイプが掛け合わさり、さらにそれぞれの好みが追加されていくことで、より詳細な設計を行うことができるようになっていきます。

若いときはスペシャリスト、年を取るとゼネラリスト

スペシャリスト・ゼネラリスト

MBTIでは若いときはスペシャリストを目指し、年を取るにつれて人は主機能以外のサブ機能や劣位機能の能力も高めたゼネラリストを目指すようになると考えられています。これは若い時には主機能と一つのサブ機能という判断と知覚のワンセットを極めていくことで意思決定や感情の抑制する術を身につけていくのに対して、

年を取るにつれて、さまざまな人と関わるようになるため、そして主機能の能力をより高めるための土台作りとして、もう一つのサブ機能や苦手な機能の能力を身につけていくからであり、もう一方で老化とともに主機能の衰えから全体的なバランス型へと向かうためだと考えられます。

そして農村の自給自足的なものから市場経済化された家庭に残されている家事・育児という領域こそ、ゼネラリストとしての能力が重要になる領域です。これは「料理」や「片付け」という生活の基本となる行動を見ればよくわかります。そして言葉以上に表情やしぐさといった非言語コミュニケーションの塊である子どもたち や 仕事や人間関係で疲れたパートナーとの対話もまた現代社会では特にゼネラリスト的能力が問われる部分でしょう。このように私たちは時と共に変化していきます。しかしその変化は連続的なものであり、私たちの性質は変化しますが、そこには過去の蓄積の上に成り立つ連続性があることも理解しておく必要があります。

だからこそ、家づくりをする時には

建築家や設計者に対して、もしくは、彼らと一緒に、自分たちの個性を見つけて、理解し合うことが大切になります。今回はMBTIをはじめとした性格診断や認知テストの方法を紹介しましたが、その道はさまざまにあり、自分に合った道をぜひ探して、幸せや喜びを感じながら、ぜひ家づくりを楽しんでください。

関連情報

参考図書

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